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式年大祭

岩山芳憲

磐座山と新宮蘭梅山遠景の写真

 例大祭が毎年行われるのに対し、式年祭は一定の年を経て行われるものをいいます。配志和神社の場合は閏年の間隔で概ね四年に一度『天孫御降臨式年大祭』が行われます。三日間に渡る御祭典です。

<写真:磐座山と新宮蘭梅山遠景>

 第一日は、深夜十二時過ぎに始まります。現在の御本社である蘭梅山の新宮から出立した一行は、発祥の地である磐座山(いわくらやま。九本松とも呼ぶ)の嶺頂に着き、そこで『御室焼』(おむろやき)の特殊神事を行います。

 御室焼きが無事行われますと、一行は御神体を捧持して沢内地内の御旅所に下山し、そこから更に太田貝(おおたがい。現在の前田の照井堰分水場内)に進み『岐の問答』(みちのもんどう)を行い、更に山目十二神、末広町を経て御天王山(ごてんのうやま。現在の山目公民館隣接地)に進み、そこで御神霊を神輿にお移しします。この頃になると夜も白み始まり、第一日が終わります。

 第二日は、早朝御天王山の神輿の御前で『婚儀式』(ごんぎしき)が行われます。それから間もなく、赤荻中条地区から『若宮童子』(わかみやどうじ)と呼ばれる担夫(かちぶ。神輿担ぎの所役)が集まり、『発輿祭』(はつよさい)が行われ、いよいよ神輿の御巡幸(ごじゅんこう)が始まります。

 神輿は上の橋を渡り一関広小路に休止し、神役、供奉の稚児、所役、行装吟味役が揃い、行装が整いますと、大町〜地主町〜磐井橋〜中央町を経て配志和神社参道入口まで進み、そこで午前が終わります。

 午後は山目町を進み根岸(現在の新町)の少名彦神社の仮宮に入り、『御膳上げ』(ごぜんあげ)が行われます。これが終わりますと神輿は本社に向けて御還幸(ごかんこう)し、第二日が終わります。



天孫御降臨神事行列之図の写真

<写真:天孫御降臨神事行列之図>

 第三日は、『御蔭詣り』(おかげまいり)の日で、前日の御巡幸に参列した稚児達が前日の装いでお参りし、無事奉仕の感謝と健やかな成長をお祈りします。こうして三日間(夜明けを一日の始まりとして数えます)に渡る御祭典は幕を閉じます。

 この御祭典を通して、神様には磐井の郷土の発展した状と産子(うぶこ。当地方の人々)が心を込めて奉仕する姿を御覧戴き、御加護を願うのです。

 この式年大祭は、数百年に渡り続いている伝統行事で、殊に第一日から第二日に掛けての特殊神事は我が国でも類まれな行事で、現在では当社だけが原形を伝えている貴重な行事でもあります。



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